東京・小石川のトッパンホールにて、「日本音楽コンクール」ピアノ部門の、第1予選から第3予選が開催されました。(9/10日~9/20日 主催:毎日新聞社)
レッスンの合間を縫って、一日を除いて、すべての審査会を傾聴しました。
今回はその一回目、第1予選について振り返ります。
ピアノ部門第1予選は、指定のベートーヴェンのソナタ(17曲)から1曲を選び、その第1楽章と第2楽章を当日の抽選により演奏します。技術に加え、音楽性、構成・様式感など、その人の「基本」が顕わになるため、古典派のソナタ、特にベートーヴェンはコンクールや入試課題の常連曲です。
タイプの異なる二つのどちらかの楽章を弾く場合、一方は得意だけれど、一方は不得意では当日の運任せになってしまうため、1,2楽章をパッケージとして仕上げる必要があります。
さて、この度の演奏については、(案の定と言うか)2楽章に当たった人は苦戦している傾向がありました。音を間違えるような、そんな初歩的なミスではなく、2楽章独特の深さ、怖さにつかまえられてしまっている、とでもいいましょうか。ゆるやかな中でもしっかりとしたテンポ感を保ちつつ表現をする、弱くても「痩せない・抜けない」タッチの実現、そして、どれだけ自分の音を聴けているかどうか、などなど…むずかしいですね!
でも、中にははじめの一音から讃美歌のように穏やかで荘厳な世界を作り出す出場者もいて、思わず引き込まれたのは2楽章を弾いた方に多く、色々なことを考えさせられた2楽章組でした。
「ピアノって難しいね…」演奏後、何人かの背中に思わず語り掛けました。
出場者の多くは、すでに演奏家として活動している方たちだと思います。それでも、ただならぬ緊張が漂う空気感の中、自分の持っている全力を出し切ることは並大抵ではありません。
たとえ、残念ながら第1次予選で下山する結果になっても、「もうだめだ、、」なんて思わないでほしい。あなたたちの音楽、努力の姿勢、しっかりと届いていますから。
ここで、189人(棄権者あり)から45人に。
中2日あけて、第2予選です。