目黒にある庭園美術館の「建物公開2021 艶めくアール・デコの色彩」展へ。
自然界の作り出す景観も大好きですが、絵画や工芸、建築など、芸術家やすぐれた職人が創りだす世界にも強く惹かれます。とりわけ明治から大正に建てられた洋風建築が好きで、時間を見つけては都内近郊の建物を見て回ります。
特に庭園美術館は、私にとって別格です。
元々は1933年に建設された、朝香宮家の邸宅。
朝香宮両殿下がフランスのアール・デコ博覧会に出向かれたことから生まれたアール・デコ様式の館です。インテリアデザイン・設計に携わったアンリ・ラパンは「森の中の邸宅」をコンセプトにしたと聞きました。
まさに、都会の中にありながら森の中を感じさせる庭園美術館。
その歴史は、高松藩主松平家の下屋敷だった江戸時代にはじまり、戦後は吉田茂が公邸として使用し、その後、国賓をもてなす「白金迎賓館」から企業、そして東京都へ。
その時代の持ち主に大切に受け継がれながら、空襲も逃れて、今日東京都庭園美術館として私たちも参観できる事はたいへんな幸運です。
子どもの頃、亡き父の「散歩に行くから用意しろ~。白金迎賓館まで行くぞ~」のかけ声に散歩に出かけた、懐かしい思い出もあります。子ども心に「お姫様のお住まい!」と、それぞれの部屋の室礼、照明、ドアノブなどの意匠を発見する楽しみがあり、空気感にときめいていました。学生時代には、大切な友人を案内しては、得意げな気持ちになったものです。
この季節は、長い年月によって育まれた、お隣「自然教育園」の、白金の森の新緑も素晴らしいです。
会期は今週末まで(令和3年6月13日)